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【62冊目】 『作家の収支』→顧客の視点を持っている人

作家の収支 (幻冬舎新書)

 

職業作家としての「仕事」

本書は森博嗣氏が作家の収入について網羅的に書いているものです。著者の名前は、『

すべてがFになる (講談社文庫)』等で知っている人も多いと思います。

 
こういった収入についての本というのは、作家だけでなくすべての職業において少ないのではないでしょうか。何をしたらいくらもらえて、何をするとどれくらい稼げるのかなど、そういった本を僕は読んだ記憶がありません。
日本には「お金の話は汚い」といった風潮がありますが、著者はそうではないといいます。
 
僕自身は、金のことを書くのは恥ずかしいことでも汚いことでもない、と考えている。しかし、どちらかといえば、格好の良いことではない。黙っている方が文化的に美しいだろう、と理解している。ただ、誰も書かないのならば、知りたい人のために語るのは、職業作家としての「仕事」だと思った。
 
知りたい人がいるから書く。これは本質をついているなと感じました。商売の基本は、お客様が欲しいモノ、サービスを提供して買ってもらうということだと思います。
この文章はまさにこれをついていると思うのです。知りたい人がいるから、職業作家としての仕事として書く。
こういう考えを持った人だから、作家としてじゅうぶんに稼いでいるのだなと強く感じました。顧客の視点をきちんと持っている人だなと。
 
 

4章から構成

本書では、
第1章 原稿料と印税
第2章 その他の雑収入
第3章 作家の支出
第4章 これからの出版

 という構成になっています。

 
第1章では、作家といえばだれもが思いつく収入である「原稿料と印税」について。原稿用紙1枚でいくらなのか、時給換算した場合いくらなのか、また版形の違いによる売れ方の違いなど、事細かに書かれています。
 
第2章ではその他の雑収入ということで、講演会やサイン会、取材を受けたらいくらなのか。さらには、テレビドラマ化されたらいくら儲かるのか。など書かれています。最近では『すべてがFになる』がドラマ化されています。興味わきますよね。
 
第3章では作家の支出ということです。
著者の場合ほとんど作家の仕事としての支出はないということです。会社にするしないなど含めていろいろ書かれています。
 
第4章では、これからの出版ということで、これから出版するにはどうしたらいいのかというような考えも書かれています。
僕がこの章で印象深いのは、「出版不況の本質は大量消費の崩壊」。これは出版業界だけでなく様々な業界にいえることだと思います。ここに書かれていることを認識しているかしていないかで大きな違いになってくるはずです。
 
 

<最後に一言>

著者の本は小説もエッセイも好きで読んでいます。
本書も作家の収支について客観的な事実が書かれていますが、至る箇所で著者の独特な(いい意味で)考えが書かれていて参考になることだらけです。
著者のように様々な視点から物事を見ることが必要だと思います。
その上で、顧客の視点からもきちんと見ることができるという、これは最高ですね。
 
作家の収支 (幻冬舎新書)

作家の収支 (幻冬舎新書)

 

 

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)