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【66冊目】『容疑者ケインズ』→ケインズを知るにはいい一冊

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あの有名経済学者のケインズに関する本です。
著者の小島寛之さんはケインズの主張に魅せられて、ケインズへの想いが溢れて、経済学への道を進んだといいます。
この話を読んだだけでも、ケインズへの想いはものすごいものだと感じ取ることができます。著者の経済学の研究生活は、「ケインズ理論に決着をつける」ためのものだっといっても過言ではないとも言っています。
その中本書は
完全な決着とまではいかないけれど、その「一定の場所」を冷静に語り切れたと自負している。
と、書いてあります。著者のケインズへの情熱があって書かれた本です。だからと言ってケインズの理論をすべて絶賛しているわけではないのが本書の面白いところです。
 
僕のケインズで知っていることと言えば、
『雇用、利子および貨幣の一般理論』という本を出して、不景気な時には公共事業をすることによって景気が上向くということくらいでした。
本書はもちろんさまざまなことが書かれていて勉強になりました。
 

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

重要なものを一度枠の外に

こんな考え方も勉強になります。
ケインズは、国全体で生産や消費や投資に何が起きているかを、いったん貨幣をはさまずに考え、有効需要の原理を思いついた。このように、貨幣なしに経済のマクロな構造を分析した上でケインズは、経済の中で貨幣がいかに特異な存在であるか、そういう視点にたどりついたのである。
何かが重要だと思ったら、いったんそれを抜きにして考えてみる。そうすると、それが本質的にどのような働き、役割があるのかということを認識できるというメリットがあるのですね。
この考え方はとても参考になりました。何かが重要だと思うとどうしてもそれを中心に考えてしまいますが、そうではなくその重要だと思うものをいったん枠の外に置いて無いモノとして考える。そのうえで、その重要なモノについて考えるということ。
こういった考え方は、意識していないとできないかもしれません。今後に生かせそうです。
 

貨幣の最大の機能とは

「貨幣の役割とは?」と聞かれてすんなりこたえられる人は多くないかもしれない。僕自身もすんなりとは答えられなかったです。が、本書のこの部分を読んでしっくりきました。
 
貨幣の機能はいくつもある便利グッズだといいます。貨幣がなかったらと考えると多くの機能を兼ね備えているとわかりますね。
その中で、ケインズが注目していたのは、「貨幣の流動性」という性質だといいます。
 
貨幣の流動性というのは、「いつでも思い立ったときに額面と同じ価格のどんな商品とでも交換できる」、という性質のことである。これは、貨幣だけが備えている性質だ。
 
言われてみればそれはそうだ!と当たり前のように感じるかもしれないが、それが確かに最大の機能だと思います。これがなかったら普通に困りますもんね。何か欲しくてもどうしていいかわからないということが、常に起きてしまいます。貨幣の代わりも見つかりません。貨幣は何にでも化けることができるもの。
 
この「いつでもどこでも何にでも=流動性」という考えはかなりしっくりきました。
本書では、2,000円札についても書かれてます。2,000円札が使われなくなった理由はずばり流動性がわずかに失われたからだといいます。
自販機で使えないというわずかな流動性の損失が2,000円札が全く使われなくなってしまった原因だといいます。おー、確かに、と納得です。
 
<最後に一言>
本書は、わかり易いですね。経済学の知識がなくてもわかるように書かれています。気楽にポンポン読み進めていくという感じではないですが、きちんと読めば理解できます。
本書には上記のほかにももちろんたくさん書かれていて勉強になることだらけです。株式投資は「美人投票」と言われることがありますが、それを言い出したのはケインズであったことも知りませんでした。
経済に少しでも興味のある人は読んだ方がいい一冊ですね。
 
容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

 

 

雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫)

雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫)